2008年06月27日

民需の外の軍需

橋下知事「一緒に自衛隊体験入隊を」幹部「死んでしまう」
2008年6月18日(水)10:02 asahi.com



この記事を見て思ったのが、軍事ケインズ主義。
軍事ケインズ主義は、武器等の軍需品に政府支出を行うことを公共事業とし、
資本や人間の貴重な時間を、軍隊的なモノへと積極的に投下する主義主張のこと。
日本でのケインズ主義は道路等のインフラ整備を対象とすることが多いけど、
その税金のバラ撒きを、ミサイルやら常備軍やら核兵器開発やらに対して行うのがそれ。

発表当時は絶賛されたものの、後になるに従って半笑いで評価されるようになった名著、
『通産省と日本の奇跡』を書いた政治学者のチャルマーズ・ジョンソンは、近著の中で、
アメリカの現在まで続く軍事ケインズ主義は、もうとっくにダメだと書いている、らしい。
具体的な例や数字を省いてその理由を列挙すると、以下のような感じだ。
(『世界』4月号 「軍事ケインズ主義の終焉」川井孝子・安濃一樹 訳)

・軍隊に金をかけたことで、国家の長期的な繁栄に欠かせない投資を蔑ろにしてきた。
そのため、限られた人材と予算が、福祉や教育、民需の拡大に十分に配分されなかった。
・そもそも軍需産業は民需産業を圧迫し、経済を弱体化させることとなった。
・優秀な研究者が生産性の無い軍事製品の開発へと回され、民間は頭脳を失った。


人間の時間は有限で貴重なモノだし、税金だってきちんとした用途で使われないと困る。
40歳のおっさん公務員に腕立て伏せや匍匐前進をさせて、その間も税金で賃金が支払われて、
それでどの程度国民にペイされるのだろう。政治的な見世物としてもいかがなものだろうか。
軍需産業が必ずしも民需産業に良い影響を与えず、むしろ悪い影響を与えているように、
文民である大阪市職員が、自衛隊の中で非文民の真似事をしてどういう効果があるのだろう。
これは徴農制とかワケのわからないことを言っている東国原宮崎県知事にも同様に該当する。
公務員に生産性のある仕事をさせるなら、求職者にその仕事を回した方がまだ有意義だし、
精神論を叩き込むのなら、仕事の終わった後、公務員各人がマナー教室へ通うだけで十分だ。
というかですね、既存の人材を有効活用して、もっと個々の能力を高めるような環境を作って、
公務員に蔓延しがちな非効率を削るのが橋下・東国原知事の仕事なはずなんですよ。
公務員には公務員の仕事をフルスロットルでさせてあげて下さい。それが一番効率的なんです。
posted by 手の鳴る方へ at 01:35| Comment(1) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月25日

司法がよくパチンコしてる人

丸田隆 『裁判員制度』 ( 平凡社新書 )
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チームJ 『日本をダメにした10の裁判』 ( 日経プレミアシリーズ )
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来年の5月21日から始まる予定の裁判員制度のこともあってか、
むしろ映画『それでも僕はやってない』や「国策捜査」関連の反響の大きさか、
本屋に行けば日本の司法を扱った入門書、新書が盛りだくさんな昨今。
裁判員制度の是非から司法の内部事情、そもそも裁判って何ですか?
最高裁って何者? 等々、バリエーションある品揃えだ。っていうか汗牛充棟?

「21世紀の我が国社会において、国民は、これまでの統治客体意識に伴う国家への過渡の依存体質から脱却し、自らのうちに公共意識を熟成し、公共的事柄に対する能動的姿勢を強めていくことが求められている。国民が法曹と共に司法の運営に広く関与するようになれば、司法と国民との接地面が太く広くなり、司法に対する国民の理解が進み、司法ないし裁判の過程が国民に分かりやすくなる。その結果、司法の国民的基盤はより強固なものとして確立されることになる」(『裁判員制度』p.95)


というのが裁判員制度の本来の主旨らしい。
裁判員を強制されて何がどう能動的なのかイマイチよくわからないけれど、
この新制度のお陰で、国民の司法への関心が高くなっているのは確かな模様。
というか、新書コーナーに裁判員制度や司法の批判本が溢れかえっている時点で、
国民と司法の関係は「太く広く」なっていると言ってもいいんじゃないかと思う。
新書にもなってない、今後もなりそうもない分野ってのはまだ幾らでもあるしね。
(ブログ界隈の盛り上がりはイマイチ欠けているけど、多分そんなものだろう。)

今回の裁判員制度は「司法は他人事じゃない」と国民に広く思わせた時点で、
あるいは司法を批判する土壌を与えた点で、キャンペーンとしては成功している。
(そう考えると権力ってスゴイね。「主体的に」国民を司法と結び付けるんだから。
ネグリのマルチチュードって言うのは、こういうことの真反対なんだと思いますよ。知らんけど。)
今までの国民の関心度が、立法>>>>行政>>>>>>>>>>>>>司法だとしたら、
最近の関心度は、立法>>>>行政>>>>>>>>司法くらいにはなっていると思う。
シティボーイズで例えるなら、立法が大竹、行政がきたろう、司法がよくパチンコしてる人だ。
この3人の間にはそんなに実力差は無いはずだし、誰が誰より偉いということも無いはずなのだが、
ケレン味のある大竹(立法)ばかりが目立ってしまって、メディアで取り上げられてしまう。
だから出版業界は『日本をダメにした10の斉木しげる』とか、そういう新書を書くべきなのだ。
posted by 手の鳴る方へ at 07:05| Comment(0) | 批評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月21日

あぐらをかく女性

70分DVD付き 体の中からキレイになる 龍村修のヨガ教室 (ムック)
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キレイになるヨガ vol.2 [DVD付] 白夜ムック (ムック)
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健康だとか、美容だとか、ヨガとかピラティスの話をしたいワケではなくて、
あぐらをかいてる女性って、あれ? 結構イイんじゃない? と言う話。


座り方一つ見てみても、私達の身体は文化や慣習の影響を露骨に被っている。
あぐらのイメージは、椅子に座っていない、と言う程度の乱暴な意味で日本的で、
身体が弛緩し、リラックスしている点で、また、礼儀作法のコードから外れている点で、
私的かつ家庭的、逆に言えば非公共的・非形式的な空間・状況を示唆している。
そして何よりもあぐらは男性的(というか無骨で権威的な家父長のイメージ)だ。

で、例えば漫画表現として、コミックの表紙で、ヒロインがあぐらをかいている場合、それは

@ その子がボーイッシュであることを示している。
A その子が闘う女性であることを示している。
B その子が型破りな性格であることを示している。
C 設定上、ヒーローとぶつかって「私があいつであいつが私で」状態になっている。

ということを表現している可能性が高くて、まぁまだ他にも色々あるだろうけど、
どちらにしろそれは「男性的な女性」を示す記号、演出としての座り方なんじゃないか。


という文脈を踏まえてですね、ヨガやピラティスの雑誌・ムックの表紙の話なんです。
上の2冊の表紙のモデルは、ヨガっぽいあぐらをかいているワケなんですが、違和感が無い。
違和感が無いどころか、健康的で、美的で、つまるところエステティックで格好イイ。
あぐらをかく女性のイメージって、思いもかけずポジティブだなぁと個人的に思ったのです。
もちろんそこには男性的な無骨なイメージ、ましてや家父長のイメージはありません。
政治的な意図もありません。男性社会を糾弾するフェミニズムの姿はここにはありません。

このように座る女性が、女性として表象されるようになったのは、多分、比較的新しいことで、
男のあぐらが、絵巻物レベルの時代にとっくに表象されていたのとは対照的だと思うのです。
勝手な推測をすれば、例えば雑誌のグラビアページの中にあぐらをかく女優が現れたのは、
バブル期以降、ナチュラルメイクが主流になった90年代後半なんじゃないかと思います。
あぐら=自然体=ナチュラル=ナチュラルメイクが主流となった90年代後半、です。
資料的な裏づけが何一つなく、こんな適当なことを言ってます。誰か調べてください。


【 6月22日 追記 】
眞鍋かをりのココだけの話 (ココログブックス)
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あぐらの女性が表紙といえば、これを忘れてた。
ちなみにこの本が05年9月の発売。もちろんヨガとは関係ない。
そして違和感もない。自然体が魅力の女優らしい表紙ですよね。
上でも書いたけれど、あぐらはプライベートな空間を示唆しますから、
(名目上は)私的なブログ本の表紙であぐらをかくのは正しいはずです。
posted by 手の鳴る方へ at 07:39| Comment(0) | 批評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月17日

トイレトレーニング

姪っ子のことはこのブログに書こうと思えばいくらでも書けるんですが、
やりすぎて育児ブログ化するのもどうかと思うので自重しています。
でもたまには姪っ子関連の話。


姪っ子を保育園に送迎しているうちにママさん方と顔見知りになってしまい、
「子供の習い事ってどうしようかしら」「玩具は日に当てて殺菌した方がいい」
「あそこら辺にはノラ猫がたむろしていて糞もあるし砂遊びは危ない」
みたいな話題で盛り上がってる今日この頃です。
皆さん、3歳とか4歳の子供のママさんなので、知識も経験も豊富で、
2歳になったばかりのウチの子にとってはとてもありがたい情報だらけです。

しかしまさか、オタクでフリーターの私が人妻とこんな話をするようになるとはね。
オタク的発想・思考から最も縁遠いのは、こういう家庭臭なのだと痛感します。
というかむしろ、これは家庭臭じゃなくて、真摯な教育の臭いなんだと思います。
(あるいは母親は子供にとってマクルーハン的なメディアなのだ、とか。)
まぁ、彼女らの話題が全部、家庭的で典型的な主婦の話だとは言いませんけどね。
女子高生みたいな話もしてますしね。携帯の待ち受けがジャニーズとかね。
あそこの写真館のプリクラは子供のコスプレも用意してくれててマジスゴイ、とかね。
ちょっと前だと、エスカレーターにサンダルが巻き込まれるってマジヤバーイ、とかね。
そういうテンションになると、私はもうついていけなくなるんですけどね。
というかヤンママのテンションが時々怖い。社会性の無さは常に怖い。
この全き他者の一挙手一投足に怯えてしまう。接し方がわかりません!!


それはいいとして、ママさん方から最近薦められているのがトイレトレーニング。
2歳になってから最初の夏に始めた方がいいらしいです。と言うのも、

・そろそろ一人で立って自由に歩けるようになるから
・しばらくすると第一次反抗期に突入して訓練どころじゃなくなるから
・夏だと洗濯する量が少ないから
・夏だと洗濯もすぐに乾くから
・夏だとパンツに漏らすとジメジメして鬱陶しいから、子供が馴致しやすい

とのこと。ウチに来てたベネッセのDMにもそんなことが書いてありました。
これが進研ゼミのDMみたいに、漫画でトイレトレーニングのことが書いてあって面白い。
んで、ウチの子も最近2歳になったんだけど、発育が遅いからあまり自立歩行をしないのです。
まぁ、そこら辺のしつけに関しては、私はノータッチを貫いているのでどうでもいいんですけど。

ママさん方にとって、トイレトレーニングは育児の強敵の一つらしく、皆さん真剣です。
みんなもこうしてパンツマンになってきたんだなぁと、しみじみそう思います。
posted by 手の鳴る方へ at 05:04| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月12日

キャッチャー・イン・ザ・ライク

絶望文学集 〜キャッチャー・イン・ザ・ライク〜

 こんなインチキな話は人生長しといえども、そうそうしょっちゅう聞けるものじゃない。もし君がサンデー編集部を知っていたら、君だってやっぱり僕と同じように訴訟を起こしていたと思う。だってあいつらときたらどいつもこいつも仕事をしないんだ。いや、まじめな話。そりゃいまにして思えば、最初の担当や二代目の担当はちゃんとやってたと思うよ。言いたいことはあるけれど、初代と二代目はほかのとんちきな連中に比べればまだいいやつらだった。

 僕が参っちゃうのは、三代目の担当が平気で遅刻をするってことさ。これってあんまりじゃないか。女の子がデートの待ち合わせに遅れるっていうなら、ましてやその女の子が目が覚めるようなルックスだったら、僕だって文句は言わないよ。「私、遅れなかった?」って聞かれても「ぜんぜん」と答えるだろうね。でもさ、漫画家と編集者の関係っていうのかな、それってデートとは違うじゃないか。担当が決めた締め切りギリギリにカラー原稿を仕上げたっていうのにだよ、それを取りに来ないってのはおかしな話で、しかも「いつでもいいだろ」ときたもんさ。もうびっくりだね。そういう態度ってないだろうよ。ほんとに冗談抜きで。

 四代目の担当に至っては、相手の手の指を四十本くらいぼきぼきと折ってしまわないような握手じゃないと女々しいと考えるような、よくいるタイプの一人だった。やつは担当替えの当日から僕にガンをつけてくるんだよ。そういうことをされると滅入るよね。
「なぜ、替わる担当替わる担当、喧嘩を売ってくる必要があるのだ?」と僕は尋ねた。するとこの手のやつらは、ヘラヘラしてこう言わなくちゃいけない決まりになってるんだ。「僕は編集部の中でも怖い編集といわれていてね」とか「僕はKと仲がよくってね」とか。自分たちがどれくらい漫画家を馬鹿にしてる人間かをわからせるようにさ。そういうのってまぁ、逆にこっちが笑っちまえることではあるんだけどさ。

 とにかく僕はこの四代目担当者と一緒に仕事をしてきたんだけど、この男のひどいところは、僕に自宅のFAX番号を教えないってことだ。きっと君にだって教えないはずだ。聞けば「自宅のFAXは壊れている」、百年経っても「まだFAXは壊れている」と、そう言うだろう。FAXってのは壊れてて当たり前なんだ、お前のところのFAXは壊れてないのかい、そりゃすごい、ところでそれはほんとのFAXかい、へぇへぇそうなんだと、そんな調子のいいことを言って漫画家を滅入らせるのがやつらの生き甲斐なんだから。まったく編集ってのはこんなインチキなことを平気な顔でやる連中なんだ。あいつらの頭の中には「自宅に仕事を持ち込むな」ってことしかないんだよ。千ドル賭けたっていい。

 この担当編集とはいろいろあった。右手の骨を折って、連載を休載したのもこの時期だった。同じミスが続き、机を思いっきり殴ったら、拳の骨が右手の皮膚を突き破ったんだ。まあ今にして思えばずいぶん愚かしいことをしたわけだ。こんなことがあると、だしぬけになんとなくナーバスになる。というか、もともとかなりナーバスな性格なんだよ。このときに「もうサンデーでは駄目だ、小学館では仕事は無理だ」と、そのくらい言ったっていいんじゃないかと僕は思ったんだ。
 でもさ、「金色のガッシュ!!」には楽しみにしている読者がたくさんいる。そうなんだ。僕の描いた漫画を読んで面白かったときに、きちんと面白いと言われたりすると、僕はとても嬉しくなるんだよ。たいていの読者はとてもきちんとしているよ。ほんとの話さ。

 僕は期限をきめて、それまでは「金色のガッシュ!!」を描くことにした。その後にやってきた五代目の担当者もひどいやつで、蓮根なみの間抜けだった。誤植を注意したら逆ギレするようなやつで、とにかく社会人としての常識が無いやつなんだ。嘘いつわりのない話。この手の連中ってさ、僕は世界の果てまでめげちゃうんだ。もうどう仕事をしていいのかわからなくなる。そのうち、電話も会話が終わると、僕にわかるように受話器を叩きつけるようになった。そういうのを耳にすると淋しくて、じっとり落ち込んじゃうんだ。


 ようやくサンデー本誌の連載が終わったと思い、これまで預けてたカラー原稿の返却を求めたら、「数枚、原稿を紛失してしまっています」だなんて、やんなっちゃうよね。漫画の原稿ってのは、漫画雑誌の編集者にとってももっと貴重に扱われていたはずなんだ。それがここまでひどい扱いになっている。まったくどうしてみんな、人の大事なものを台無しにせずにはいられないんだろう。
 僕は小学館の責任者のもとに行ってこう言う。「オーケー、あのカラー原稿を返してくれよな」と。でも原稿を紛失したその編集はたぶん、なんのことだかわけがわからないという声で、こう言う。「カラー原稿って何だよ?」ってさ。で、僕が何をするかというとだね、たぶん二度と小学館での仕事は受けないということを口にすると思うんだ。相手が「どうせ口だけだ」と思ってるのを改めさせるためにね。で、僕が何か辛辣で嫌みなことを口にするとだね、編集長はさっと椅子から立ち上がって、自宅に詰め寄ってくると思うんだ。そして言う、「ファンも待ってるし、またサンデーで連載をお願いしたいね、あーむ?」ってさ。僕は机を右手で叩いて編集長に怒鳴りまくる。本当は右手で叩いちゃだめなんだ。手に怪我したときのことはさっき話したよね。ようするに連中は最後まで僕に対して喧嘩を売っていたわけなんだよ。

 君が漫画制作の現場を知らないものとしていちおう説明しておくと、漫画家と編集者は対等のつきあいをすべきなんだ。仕事仲間だもの。そりゃあときにはうんざりされられることもあるけどさ、そういうことばかりでもない。なんていうか、尊敬ってやつがなきゃだめなことってあると思うんだ。正直な話。原稿を紛失したところで「どうせ紛失したって、原稿料払い直せば事は済むんだろ?」みたいな、そういうことを言う連中とは、なにがあろうと、たとえ死の瀬戸際に立たされたって、一緒に仕事なんかしたくないんだよ。ましてや保証金とかいうわけのわからないお金でうやむやにされるなんてまっぴらだし、僕がそれを受けいれることで、へんてこな前例を作られるくらいなら死んだほうがましってもんだ。それにさ、お金って嫌だよね。どう転んでも結局、気が重くなっちまうだけなんだから。


 なんだか話しすぎたけど、とにかく僕は訴訟を起こそうと心を決めたわけだ。このくらいしないと連中にはわからないのさ。嘘じゃなくて、神にかけてそう思うよ。君がなにを言ったところでさ、あいつらは動かないんだよ。とんでもない話だよね。でもまあともかく、結果はどうであれ僕はさっさと小学館とはお別れする。こんなところでうろうろしていたくなかったからね。ほかの出版社からのオファーならきてないこともない。ほんとだよ。別れ際にはなんて言おうか。「ぐっすり眠れ、うすのろども!」ってのはどうだろう。
posted by 手の鳴る方へ at 01:26| Comment(0) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月08日

『近代の思想構造』

今村仁司 『近代の思想構造』 (人文書院)
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近代の自然観・宇宙観は機械論的であり、それは現在にも大きく影響している。
人間は目の前の時間・空間を抽象化し、等質化し、分析し、部分部分の要素に分け、
洗練された方法論を通じて認識し、制御し、加工して支配することができる。
全ては命令の対象となり、自然への恐怖はこの近代の啓蒙の力によって克服される。

西欧人はプラトン、アウグスティヌス、ガリレイ、そしてベーコン(「智は力なり」)等を通じて、
ソクラテス以前の、プュシスとして生成する有機体的(非機械的な)な自然を見事に忘却し、
無機質・無構造的なナトゥーラ、形相に対して立てられるマテリアとしての自然を作り出した。
神から与えられた理性により、あるいは神なんかいなくとも、豊かさをもたらす理性により、
近代以降の人々は世界を組み替え、過去よりも優れた、進歩発展する「現在」を確信していた。

また、この大きな網の目の中に、人間も社会も国家(最も巨大な機械)も包まれている。
かつては祈りに似ていた労働が、近代以降は自然を否定し、排斥するものとして表象される。
多忙と余暇の評価は逆転し、多くの行為が方法論的に組織化され、幾つかは排除された。
生活や制度は一変する。又は徐々に姿を変え、「日常経験はことごとく投企になる。」(p.176)
学問が生み出す知識は技術と化し、ただちに経済に組み込まれ、より善き世界の礎となる。
人間の身体も時間も、「勤勉と禁欲」をスローガンに、生産中心主義的な文化の一部となる。


このような機械論的思考を忌避する声は常にあるが、大抵は俗言に過ぎないと言える。
資本主義に対比された共産主義も、この近代的な機械論、生産中心主義の産物であるし、
観念論者も唯物論者も、自然・世界をコントロールしようとする点で同じ穴のムジナだ。
人間の精神、デカルトの言うコギトでさえも(こそが)、機械論的近代の産物である。
例えば今村仁司は別の本、『近代性の構造』の中で、こんなことを書いている。


常識論でいうと、「我考える」は精神の原理だから、機械とは正反対のものだと考えがちである。その常識はまちがいである。たとえば、戦時中に「近代の超克」の座談会で、小林秀雄が「精神は機械が嫌いだ、それを代表するアメリカの機械文明はけしからぬ」というようなことをいっているが、これは日本人の俗耳に入りやすい。歴史的事実はこれと違う。近代の精神は、デカルトのいう意味での精神、すなわち思考する精神(コギト)は、機械論の世界像がつくった偉大なる成果であり、デカルトの『方法序説』はその最初の成果である。(p.125〜p.126)


文系の教養だとか道徳だとか教育だとかは、まんまとこの「非機械的」精神のために奉仕する。
携帯よりも機械的な現代で、子供の教育のために携帯電話を持たせるべきではない、と、
そんな不可解なことを政府の諮問機関(これも何と機械的なことか!)が口にしたりもする。
海へと子供を放り出し、「塩水は体に悪いから飲んじゃ駄目」と言っているようなものだ。

人間存在をバラバラに分解し、分析する中で、デカルトの言うコギトは発見されたワケで、
その「バラバラに分解して分析する」手法そのものが、近代を生んだ機械論的である。
この手の、機械が上か人間が上か、あるいは機械に管理されるのか自律的に生きるのか、
という話はよくある話だけど、今村仁司にしてみればどちらも超克すべき近代の産物だ。


機械や技術は合理的に自然を最適化し、西欧形而上学のユートピアを具体化する。
「世界の技術化は形而上学の世界化である。」(『近代の思想構造』 p.262)
機械が人より上だろうが下だろうが、自然は常に機械や人間よりも下に隷属する。
今村仁司はテクネーの問題についてある種の提案 ――遊戯の思考―― をしているし、
本書全体についてもニーチェだとかベンヤミンを持ち出して述べているが、割愛。
というのもあんまり面白くないから。というか、ポストモダンの羅列になっているから。
個人的には、この機械論はマクルーハンのメディア論に繋げて考えてみたい気がします。
posted by 手の鳴る方へ at 08:55| Comment(0) | 哲学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月04日

ボケノートクロニクル6 〜エロス!〜

汽車を待つ君の横で僕は、滝川クリステル (お笑い小咄板 名無し職人の作品)


終わって久しいネット大喜利サイト「ボケノート」に投稿されたボケを、
みんなが忘れた頃になって、主観的な見地からピックアップするコーナー。
どういうワケか最近忙しくて本も読めやしねぇ状況です。

6回目となる今回のテーマはエロ。エロと笑いはコミュニケーションの潤滑油です。
大喜利的にも、ネタに困ったらチンコウンコマンコって書いとけば大体面白いですが、
それって安易だし、レトリック的にも洗練されてないしで、ズルい側面があるのです。
ネット大喜利的には、もっと脳みそに汗をかいてボケて欲しいと思うのです。

だから今回はあからさまなエロスはほどほどにします。自粛です。
少年誌で言えば少年チャンピオンくらいのソフトなエロさが基準です。

エロい人間の、どうしょうもない本質そのものを笑い飛ばすのが上品なエロスです。
本当に面白いのはウンコチンコではないのです。それに反応する人間が面白いのです。


とか言いながら、まずはみんな大好きなおっぱいネタから。

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【Page237】
目の前に宇宙人が降りてきた!
しかし「あ、こいつには勝てる」と確信、なぜ? (どら)

[ 5位 ] 虫こない (九級)  
昨日揉んだおっぱいに似てた


【Page599】
地下鉄職員の一番派手な仕事 (63なのよ)

[ 6位 ] ホイコー・ラウ (十級)  
まず作業着に爆乳押しこむ


【Page273】
競争が激化するタクシー業界ですが、ある会社が今までにない新しいサービスを始めました。
その画期的な新サービスとは? (いんく)

[ 4位 ] 右肘  
ハンドルがおっぱいでできてて縦列駐車の時とかすごく乱暴に揉んでるように見える


【Page135】
「ファイットォ!」 「イッパァァツ!」 の台詞で有名なあのCM。
次回はどんなスリリングな設定? (Mosquito)

[ 2位 ] もぎたて果実  
叫びながら最高の谷間を作る


【Page437】
左と右の覚え方上級編 (爆弾人間)

[ 10位 ] よしお  
おっぱいを揉むほうが両手


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最後のに至ってはお題に答えてないという有様。
「好きな食べ物は何?」「おっぱい!」的な頭の悪さを感じさせます。
でもそれでいいのです。おっぱい星人はきっとそういう人達なのです。

次はエロい人々の、愛すべき滑稽な人間模様を。

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【Page556】
優しい嘘チャンピオン鈴木さんの優勝作品 (モモ)

[ 37位 ] ジェーローク (八級)  
「大丈夫、おちんちんって言ってもあのおちんちんじゃないから。」


【Page570】
武術の達人が一生かけてわかった事 (不動)

[ 4位 ] 千鳥格子  
黒帯の結び目で触っても痴漢


【Page327】
図書館で絶対にしてはいけないこと (しょこら)

[ 7位 ] 茶レム (五級)  
今から触るけど図書館だから騒いじゃだめ


【Page23】
大金を積めば依頼を絶対に引き受けるという殺し屋が
さすがに断った依頼の内容とは? (孑孑)

[ 16位 ] のくの
もうちょっと前かがみで銃かまえてみて


【Page31】
突然の雨でシャツが透けた時の対処法 (烈太)

[ 3位 ] 虫こない
手ぶらだったのでセクシーをお土産にする


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そろそろ梅雨ですが、みなさんも是非セクシーをお土産にどうぞ。
次は同じお題から、2つ続けて。

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【Page294】
一切の妥協を許さない男、山田さん。その山田さんがしてしまった唯一の妥協とは? (馬鹿男)

[ 1位 ] ケフ・ヒガンテ  
「えー、でもエッチなゴルフ場にするよ?」と言われ山を手放した

[ 25位 ] せと23歳 (八級)  
山田「9999個の次がわからないんだ」
女子社員「1万個ですよ課長」


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地震のニュースとかで「今日までに倒壊した建物の数は約4万戸」
とか言われたときも「あれ、いま言ったよね?」って思わざるを得ない。

次は変わった性癖。SMとかフェチとかホモセクシャルとかそういうの。

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【Page70】
学校着いてから気がついた「母ちゃん何やってんだよ。」な出来事。 (おかのん)

[ 5位 ] KYK
教頭の唇からおふくろの味がした


【Page444】
忍者学校の卒業試験 (梅吉)

[ 11位 ] スナパイ (初段)  
暗闇の中、1vs1で手を使わずに相手の口の中のフルーツを当てる


【Page411】
弱小旅行会社が考えた最強のオプション (梅吉)

[ 1位 ] リルケン (七級)  
添乗員のお姉さんに手すりを使わせないでそれを終始観賞するバスツアー


【Page237】
目の前に宇宙人が降りてきた!
しかし「あ、こいつには勝てる」と確信、なぜ? (どら)

[ 20位 ] しりこだま (漆段)  
ミニスカートの裾を押さえなから降りてきた


【Page52】
ブラックホールに吸い込まれたのに無事生還した西村さん。
その意外な第一声は? (デカ丸)

[ 11位 ] 最後の学園
縛るとか痛いのとかそういう方のが良かった。


【Page453】
行列の出来るクリーニング屋さんの人気の秘密 (おにぎり小僧)

[ 37位 ] みるく  
美人女将が太ももで服をたたんでくれる。


【Page494】
眠れる森の美女をキス以外で起こす方法とは? (万寿首里)

[ 16位 ] 腋 (九級)  
王子様と王子様がキス


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白雪姫は腐女子だった、という話。
他人のキスで覚醒するあたりが、現代的で皮肉も効いてる気がします。

最後に、ボケノート初期の個人的な傑作を。
このボケの「元の文章」の連合関係の捻れが、お題と奇跡的に合致している。
こういう散文を見事に再生させるのも、大喜利の醍醐味だと思います。

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【Page65】
かわいそうなゾウ 何がかわいそうなの? (とうふ)

[ 13位 ] 吉兆
処女なのに、ナウマン呼ばわり

posted by 手の鳴る方へ at 04:58| Comment(0) | ネット大喜利・小咄板 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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