2009年11月19日

東アジアの100冊

「東アジア100冊の本」選定 白川静さんの「字統」など(47NEWS 09.10.29)



日本、中国、韓国、台湾、香港が集まって東アジアの本を100冊選んだらしい。
日中韓から各26冊ずつ、台湾から15冊、香港から7冊、計100冊をチョイスした結果、
日本からは廣松渉や白川静、河合隼雄、多木浩二などの有名どころが選ばれた模様。

で、「東アジアの100冊」に選ばれた日本の書物26冊が、09年11月上旬時点のAmazon.comで、
どの程度レビューをされているのか、調べて書き置いておこう、というのが今回の試み。
同じ本が同じ会社、違う会社から何冊か出版されている場合、レビュー数が多い書を優先。
面倒臭いから、各個にリンクを貼ったり、紹介された本の表紙を載せたりはしません。

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・佐藤進一 『日本の歴史9 南北朝の動乱』(中央公論社 1965年 中公文庫 2005年)
中公文庫版のカスタマーレビュー(3件) 星5つ

・丸山眞男 『講義録 第6冊・第7冊』(東京大学出版会 第6冊 2000年 第7冊 1998年)
カスタマーレビュー 第6冊、第7冊ともに無し

・吉本隆明 『共同幻想論』(河出書房新社, 1968年、角川文庫 1982年)
河出書房新社版、角川文庫版のカスタマーレビュー(16件) 星4.5
16件のレビューは26冊の中で最多。さすがに一世を風靡した本だけはある。

・石牟礼道子 『苦海浄土 わが水俣病』(講談社文庫 1972年 2004年)
2004年度版のカスタマーレビュー(9件)星4.5
ちなみに1972年度版のカスタマレビューは2件 星5つ

・石母田正 『日本の古代国家論』 (岩波書店 1971年 2001年)
カスタマーレビュー 1971年版、2001年版ともに無し

・松下圭一 『都市政策を考える』(岩波新書 1971年)
カスタマレビューどころかAmazonの検索にヒットすらしない。
出版元の岩波書店HPの検索にも書名が出てこないという悲哀っぷり。

・廣松渉 『世界の共同主観的存在構造』(勁草書房 1972年  講談社学術文庫 1991年)
講談社学術文庫版のカスタマレビュー(2件) 星5つ
廣松先生は再発見、再評価の機運が高くていいと思います。

・宇沢弘文 『自動車の社会的費用』(岩波新書 1974年)
カスタマーレビュー(6件) 星5つ

・山口昌男 『文化と両義性』(岩波書店 1975年 岩波現代文庫 2000年)
1975年、2000年版のカスタマーレビュー(1件) 星5つ
私はこの本から山口昌男のファンになった一人です。

・河合隼雄 『影の現象学』(思索社 1976年 講談社学術文庫 1987年)
講談社学術文庫版のカスタマーレビュー(10件) 星4.5
星2つや星3つもあるが、レビュー内容は辛口でもない。

・梅棹忠夫 『狩猟と遊牧の世界』(講談社学術文庫 1976年)
カスタマーレビュー(2件) 星5つ

・網野善彦 『無縁・公界・楽』(平凡社 1978年・1987年 平凡社ライブラリー 1996年)
平凡社ライブラリー版カスタマーレビュー(8件) 星5つ
レビュー内容もやたらと熱いのばかりで好印象。

・西郷信綱 『古典の影』(未來社 1979年 平凡社ライブラリー 1995年)
未來社版、平凡社版ともにカスタマーレビュー無し

・佐竹昭広 『万葉集抜書』 (岩波書店 1980年 岩波現代文庫 2000年)
どちらにもカスタマーレビュー無し

・鶴見俊輔 『戦時期日本の精神史』(岩波書店 1982年 岩波現代文庫 2001年)
岩波現代文庫のカスタマーレビュー(2件) 星5つ

・藤田省三 『精神史的考察』(平凡社 1982年 平凡社ライブラリー 2003年)
平凡社ライブラリー版カスタマレビュー(2件) 星4.5

・前田愛 『都市空間のなかの文学』(筑摩書房 1982年 ちくま学芸文庫 1992年)
どちらにもカスタマーレビュー無し。
レビューは無いけれど、色々なところで引用されているのをよく見る本です。

・中井久夫 『分裂病と人類』(東京大学出版会 1982年)
カスタマーレビュー(5件) 星4.5

・井筒俊彦 『意識と本質』(岩波書店 1983年 岩波文庫 1991年 ワイド版 2001年)
文庫版カスタマーレビュー(10件) 星5つ
この人が選ばれない「東アジアの100冊」のなんて意味が無い。
あと、こんな難しい本に10件もレビューがあることにビビる。

・白川静 『字統』(平凡社 1984年 新装普及版 1999年 新訂版 2004年 新訂普及版 2007年)
新装普及版(1999年)のカスタマーレビュー(7件) 星4.5
「東アジアの100冊」でこの人がいないのも嘘だよね。

・二宮宏之 『全体を見る眼と歴史家たち』(木鐸社 1986年 平凡社ライブラリー 1995年)
木鐸社版は検索にヒットせず。平凡社ライブラリー版にはカスタマーレビュー無し
個人的に樺山紘一とダブってどっちがどっちかわからなくなることがある。

・多木浩二 『天皇の肖像』(岩波新書 1988年 岩波現代文庫 2002年)
岩波現代文庫版カスタマーレビュー(3件) 星4.5
ちなみに岩波新書版のカスタマーレビュー(2件) 星4.5

・伊谷純一郎 『自然の慈悲』(平凡社 1990年)
カスタマーレビュー無し

・ノーマ・フィールド 『天皇の逝く国で』 (みすず書房  大島かおり訳 1994年)
カスタマーレビュー(4件) 星5つ

・市村弘正 『小さなものの諸形態』(筑摩書房 1994年 平凡社ライブラリー 増補版 2004年)
平凡社ライブラリー版カスタマーレビュー(1件) 星4つ
あと、Wikipediaに、「市村弘正」の、項目が、無い。

・林達夫 『精神史』(平凡社ライブラリー 『林達夫セレクション 3』 2000年)
カスタマーレビュー無し

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東アジアの歴史や思想が、これらの書物、学問の言葉で語られるのが理想なのでしょうが、
「現代の古典」とか言ってるけど、おい、あれか、戦前の書物はタブーなのか、とか、
岩波的な教養、知識人が2000年以降もまだ有効だと思っているとしたら甘くないか、とか、
あの著者がいない、あの本が無いのはおかしい、多木浩二なら他にあるだろ、とか、
これじゃあ東アジアどころか日本の戦後思想の地図も書けないんじゃないの、とか、
そもそも東アジアや100冊の括りに意味があるのか、とか、思うことは多々あるでしょう。
綺麗にまとめようとすれば、この選定の歪み自体が、東アジアの歴史の一部なのです。
posted by 手の鳴る方へ at 07:28| Comment(0) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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